――セミナー講師を始めた理由
私がセミナーを始めた切っ掛けはある雑誌社からの要請でセミナーを行ったことからでした。その時のセミナーは二部構成になっており、一部がFP(ファイナンシャルプランナー)の資格やアメリカの資格を持っている方で、その方が話をし、二部で実務面を私が話すということになっていましたが、その方の話に疑問を持ちました。
理由は、机上の空論というか、教科書に書いてある内容だけで、実務との開きが大きかったことです。 これではせっかく勉強しても、実践には結びつかないと感じた為です。
セミナーへの思い
―教科書的な講義と実務知識の違い
誰かに話をする時に、一つの質問をされてそれに答えるというのは簡単です。 というのも、その質問には質問者の意図があってそれに答えるだけのことだからです。ところが、実は違う目線からものを考えた時に、答えが変わることがたびたびあります。
そういうことはもちろんテキストには書いていないわけですね。一つの切り口、一つの目線の会話しか常にされていない。 だから、有資格者や立派な学歴の方が色んなセミナーをされているけど、実務でたたき上げの私としては、答えが片手落ちだと感じることが多いのが事実です。
ですから、色々な切り口や目線で話せる人間は、『有資格者』ではなくて『実務経験者』のみだと考えます。
――少人数制ディスカッション形式へのこだわり
少人数制ディスカッション形式にはポイントがいくつかありますが、まず参加者自身の目線で自分自身の疑問を吐き出させることから始めます。その参加者の疑問を講師が把握していないと、講師の一方通行では参加者に伝わらないセミナーになる可能性があります。
伝わらない話を次々に進めていっても参加者にとっては無駄な時間です。だから、聞き手の分からないところを吐き出させ、話す側が理解する作業が必要になるわけです。
それが、私のセミナーでは質問を投げかけ、参加者同士でディスカッションをし、各々ブレインストーミングをしてもらっています。
重要なことは、参加者の考えを全部吐き出させることだと考えています。それをみんなで発表し、それぞれに色んな質問や疑問があるというのをフリートークして貰うわけです。そうすると、「私もそう思っていたけど言えなかった!」「こういう考え方があるんだ!」「こういうところで不安に思っている人もいるんだ!」など、新しい『気付き』が生まれるわけです。
私のセミナーではそこにあがった疑問を講義の中で一つ一つ全て解決していきます。それを実際にやる時に、フリートークで色んな疑問点が出てくるのに大人数ではもちろん対応できないというのが少人数制の1番大きな理由になります。
次に、通常の講義形式で見られるように講師がセミナーの項目や進行・話を全て一人で仕切ってしまうと、受講者の方の考えを無視して自説を押しつけることになります。
これは、非常に危険なセミナーになるわけです。
ディスカッション形式で自由に意見交換をするということは、私の意図と反することでも参加者同士で話すことができ、それによって、色んなことに『気付き』を見付けることも出来ますし、またそれに対して質問もできます。
これが非常にフェアなセミナーだと考えています。
セミナーは私のためにあるのではなく、参加者のためにあるものだと思ってそういうセミナーを行っています。